「ビーツって、そもそもどんな野菜?」

店頭で試飲をしていると、ビーツそのものを知らない方にもよくお会いします。カブの仲間だと思われることも多いのですが、実はまったく別の野菜です。この記事では、私たちが沖縄で畑からビーツに関わってきた立場で、栄養・選び方・食べ方まで、まとめてご紹介します。

この記事の答え

何科?ヒユ科フダンソウ属の根菜(古い分類ではアカザ科)。ほうれん草と同じ科です。見た目が似ているカブはアブラナ科で、別の野菜です
和名・別名火焔菜(かえんさい)。ビート、テーブルビートとも呼ばれます
ビートルートとの違い同じ野菜です。英語の beetroot をそのまま読んだ呼び方で、学名はどれも Beta vulgaris
てんさいとの関係砂糖の原料になるてんさい(砂糖大根)も同じ Beta vulgaris の仲間。根が白く、砂糖をとるために育てられています
栄養(生100g)38kcal・カリウム460mg・葉酸110µg・食物繊維2.7g(文部科学省 日本食品標準成分表)
沖縄で育てる理由中性〜弱アルカリ性の琉球石灰岩の土が、中性に近い土を好むビーツに合うから
沖縄の旬台風のピークが過ぎた9月ごろに種をまき、冬から春に収穫
食べ方生・茹で・焼き・パウダーの4つ

01 WHAT

ビーツとは?和名は「火焔菜」

ビーツ(beet)は、ヒユ科フダンソウ属の根菜です。学名はBeta vulgaris。原産は地中海沿岸から西アジアにかけての地域で、そこから世界中に広がりました。日本には江戸時代に伝わり、鮮烈な赤い見た目から「火焔菜(かえんさい)」という和名がつけられています。

見た目はカブに似ていますが、カブはアブラナ科。ビーツはほうれん草と同じヒユ科なので、実は植物としては別のグループです。てんさい(砂糖の原料になるビート)やスイスチャードとは同じ仲間にあたります。

切ると濃い赤紫色の断面が現れます。この色はベタレインという天然の色素によるもので、ボルシチのような料理の鮮やかな赤も、この色素の力です。

切り口に現れる濃い赤紫色は、ベタレインという天然色素の色。

ヨーロッパでは、スープやサラダに使う身近な根菜として古くから親しまれてきました。

02 NUTRITION

ビーツの栄養素(生100gあたり)

まずは基本の栄養成分から。文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」に登録されている、ビーツ(根・生)100gあたりの数値です。

成分100gあたり
エネルギー38kcal
食物繊維総量2.7g
カリウム460mg
葉酸110µg
鉄0.4mg
マグネシウム18mg
パントテン酸0.31mg
ビタミンC5mg

出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」食品番号06243

この表には出てきませんが、ビーツには硝酸塩も含まれています。また、断面の赤紫色のもとになるベタレインには、抗酸化作用を持つポリフェノールの一種であることが報告されています。

03 OKINAWA

なぜ、沖縄でビーツを育てているのか

ビーツというと、ヨーロッパや北海道・長野のような涼しい土地の野菜というイメージがあるかもしれません。実際、寒い地域での栽培が中心の野菜です。それでも私たちが沖縄でビーツにこだわっているのには理由があります。

沖縄本島の多くの土地は、太古のサンゴ礁が長い年月をかけて隆起してできた「琉球石灰岩」の大地です。この土壌はミネラルを含み、中性〜弱アルカリ性という個性を持っています。ビーツは酸性の土が苦手で、中性に近い土でよく育つ野菜。本土の多くの畑は酸性に傾きやすいため石灰をまいて土を整えるところから始まりますが、沖縄の土は最初からビーツを迎える準備ができているのです。

サンゴ礁が隆起してできた大地に、畑が広がります。

私たちの契約農家では、農薬・化学肥料・除草剤を使わずに育てています。ビーツは育った土の個性がそのまま味に出る野菜だと言われていて、サンゴの記憶が残るこの土で育てたビーツを、私たちはパウダーやゼリーにしています。畑の詳しい話は沖縄のビーツは、台風が去った9月に種をまくにまとめています。

04 SEASON

旬はいつ?産地によって時期が違う

ビーツは涼しい気候を好む野菜で、日本国内では地域によって収穫期が変わります。北海道など冷涼な産地では夏どりの年1回、熊本・長野・兵庫・埼玉など本土の主要産地では夏どりと秋冬どりの年2回の収穫が行われています。

沖縄は少し事情が違います。夏は台風の通り道になるため、芽が出たばかりの畑は風と塩に弱く、種をまくのは台風のピークが過ぎた9月ごろ。そこから涼しくなる時期に育ち、冬から春にかけて収穫を迎えます。「沖縄の野菜は夏」というイメージを持たれがちですが、ビーツにとっては冬こそが本番です。

ざるにのせた収穫したてのビーツ
冬から春に収穫した、沖縄のビーツ。

05 CHOOSE & STORE

選び方と保存のコツ

おいしいビーツの見分け方

  • ● 表面にツヤがあり、持ったときにずっしり重いもの
  • ● 皮の色が濃く均一なもの
  • ● 直径7〜8cm前後の、手のひらに収まるサイズ

保存は野菜室でポリ袋に

乾燥は甘みと風味が抜けていく原因になるので、ポリ袋に入れて野菜室へ。生のままなら1週間程度を目安に食べきると、風味が保たれます。長く楽しみたいときは、茹でて皮をむき、小分けにして冷凍しておくと、必要な分だけ使えて便利です。

06 HOW TO EAT

食べ方は4つ。生・茹で・焼き・パウダー

1生でシャキシャキと

薄くスライスして、塩・酢・オイルで軽くマリネにすると、シャキシャキとした食感が楽しめます。皮の近くに、ビーツらしい香りが集まっているので、土の香りをしっかり感じたい方向きです。

2皮ごと茹でる

茎と根を少し残して皮ごと茹でると、赤い色素が流れ出にくくなります。水に酢かレモン汁を少量加えると、色が安定しやすくなります。皮は茹で上がったあと、こすればスルリとむけます。

3オーブンで焼く

皮ごとアルミホイルで包んで180℃で40〜60分。自分の水分だけで蒸し焼きになるので、甘みと香りがぎゅっと詰まった仕上がりになります。オリーブオイルと塩だけでも十分な一皿です。

4パウダーでいつでも

皮ごと粉末にしたパウダーなら、下ごしらえの手間なく、ドリンクやお料理にひとさじ加えるだけ。私たちは沖縄産ビーツを皮ごと粉末にしていて、栄養も色もそのまま生かしています。

沖縄の畑のビーツが、この色の粉になります。
パウダーは、いつものごはんにかけるだけ。

生のビーツには、雨上がりの土のような独特の香りがあります。これは「ゲオスミン」という成分によるもので、ビーツらしさの証でもあります。この香りとの付き合い方はビーツが土臭いのはなぜ?正体はゲオスミン|消し方3つとシークヮーサーの飲み方に詳しくまとめました。パウダーの分量や混ぜ方はビーツパウダーの使い方|1日の量の目安と、きれいに混ざるコツもあわせてどうぞ。

07 CULTURE

世界のビーツ料理

ビーツは世界各地で郷土料理の主役になっています。ウクライナの真っ赤なスープ「ボルシチ」、リトアニアの冷製スープ「シャルティバルシチェイ」、ロシアのサラダ「ヴィネグレット」、フランスの千切りサラダ「ベトラーヴ・ラペ」など、国や地域によって調理法も味付けもさまざまです。私たちの店頭でも、ざくろジュースと合わせる方や、豆乳ラテにする方など、それぞれの楽しみ方に出会います。

ビーツのスープ
ビーツのスープ。赤い色は、そのままビーツの色です。

FAQ

よくある質問

Q. ビーツは生で食べても大丈夫?

食べられます。薄くスライスしてサラダに使う方も多いです。土のような香りが気になる場合は、加熱するか、柑橘など酸味のあるものと合わせると食べやすくなります。詳しい消し方はビーツが土臭いのはなぜ?正体はゲオスミン|消し方3つとシークヮーサーの飲み方で紹介しています。

Q. ビーツとビートルートは同じもの?

はい、同じ野菜です。「ビート」「ビートルート」「テーブルビート」「火焔菜」は、いずれもBeta vulgarisという同じ植物を指す呼び方です。

Q. ビーツを食べると尿や便の色が変わるのは大丈夫?

よく見られる現象です。ベタレイン色素が体内でそのまま排出されることで起こるもので、「ビートゥリア」とも呼ばれます。体質によって出やすさは異なり、数日で気にならなくなります。心配な場合はかかりつけ医にご相談ください。

Q. 鉄分や貧血対策として食べたい場合は?

ビーツには鉄・葉酸が含まれ、これらは赤血球をつくる働きに関わる栄養素として知られています。ただし、貧血の原因や必要な栄養は人によって異なるため、気になる症状がある場合は自己判断せず、医師にご相談のうえで食事に取り入れることをおすすめします。

Q. 1日にどれくらい食べていい?

明確な上限量が定められた栄養素ではありませんが、シュウ酸を含むため、腎臓に持病がある方や結石の既往がある方は摂取量について医師にご相談ください。パウダーの場合の目安はビーツパウダーの使い方にまとめています。

Q. ビーツはどこで買える?

生のビーツは直売所や一部のスーパーで手に入りますが、まだ日本では取り扱いの少ない野菜です。私たちは沖縄産ビーツを皮ごと粉末にしたパウダーやスティック、ゼリー、ソルト、塩飴として、オンラインストアと沖縄の米軍基地内コミサリー4拠点でお届けしています。

OUR FARM

まとめ|知れば知るほど奥が深い野菜

ビーツは、日本ではまだ知名度の高い野菜とは言えません。だからこそ、知れば知るほど発見がある野菜だと思っています。栄養、産地、食べ方——どこから入っても、ちゃんと奥行きがあります。

私たちは沖縄の契約農家さんと一緒に、農薬・化学肥料・除草剤を使わずにビーツを育て、パウダーやゼリーにしてお届けしています。まずは、あなたの「これなら毎日いける」という食べ方が見つかったら嬉しいです。

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